2022.11.17
インターネットメディアとインターネット広告の信頼向上に向けて - 2021年ユーザー意識調査の結果と課題への取り組み
一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会(以下、JIAA)は、「インターネット広告に関するユーザー意識調査」を2019年から毎年継続して実施し、インターネットメディア・広告に携わる事業者の業界団体としての取り組みがユーザーの理解や体験の向上に資するものとなるよう、調査によって把握した結果を活動の根拠の一つとしています。
2021年のインターネット広告に関するユーザー意識調査「定量調査」(全国で一次調査5,000人、二次調査2,000人を対象にしたインターネットアンケート調査)で得られた結果と、再認識した課題を踏まえたJIAAの取り組みをまとめました。
〈2021年「インターネット広告に関するユーザー意識調査(定量)」結果サマリー〉
- インターネット“メディア”とインターネット“広告”の信頼は相互に影響し合う
- ユーザーが情報の取扱いに関与できる場合は約7割がデータ利活用を許容
一方で約8割がインターネット広告への個人情報の利用に不安を感じている - 利用者が不快に感じるインターネット広告の主な要素は
「不適切な広告フォーマット」「不適切/不快な広告内容」
「不安・不快に感じるターゲティング広告の手法」 - インターネット広告の受容度は約9割
インターネット広告に約7割が良い点を感じ、約5割がポジティブな実体験がある - スマートフォンを中心にインターネットメディアの接触時間は増加
ただし、インターネット広告の信頼度改善は継続的な課題
1.インターネット“メディア”とインターネット“広告”の信頼は相互に影響し合う
(1)不快/不適切な広告を掲載すると、メディアへの評価や信頼度は大きく低下する
◆「広告モニタリング調査」を実施 - 適正な広告表示がなされているか自主的に実態把握
2022年春期は、会員社が運営するインターネットメディアを一定期間モニタリングして掲載されている広告を審査し、その結果をフィードバックしました。また、審査により不当と判断した広告表示例をまとめ、本年2022年8月に公表しました。
◆「不適切な広告クリエイティブ事例集」を作成・公開 - 適切な広告表現への改善促進
インターネット上で不適切な表現によってクリックを誘い購買を煽る広告が横行している現状に対し、会員内外に広く改善を促すために、JIAAが定める「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドライン」 に基づき、法令には抵触しないものの、公序良俗に反する広告表現を非推奨として示しています。
(2)不快/不適切なメディアに掲載されると、広告への評価や信頼度は低下する
◆「JICDAQ」による認証事業の推進 – 「ブランドセーフティガイドライン」の実効性確保
2021年3月にJIAA、日本アドバタイザーズ協会(JAA)、日本広告業協会(JAAA)の広告関係3団体で設立した「デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)」では、JIAAが定めるガイドラインを基にブランドセーフティと無効トラフィック対策の認証基準を制定し、広告事業者の業務プロセスを検証・確認して、適切に業務を行っている事業者に認証を与えています。
また、警察庁インターネット・ホットラインセンター(IHC)から提供される違法有害サイト情報(2014年3月から実施)や、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)から提供される著作権侵害サイト情報(2018年6月から本格運用)を活用した取り組みは、JIAAのブランドセーフティガイドラインの推奨項目であるとともに、JICDAQの認証基準での必須項目となっています。
2.ユーザーが情報の取扱いに関与できる場合は約7割がデータ利活用を許容
一方で約8割がインターネット広告への個人情報の利用に不安を感じている
◆「プライバシーポリシーガイドライン」を改定・公表 – 個人に関する情報の取扱いルールについて改正個人情報保護法で新たに導入された規律に対応
改定ガイドラインでは、改正法で新たに導入された「個人関連情報」(個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報のいずれにも該当しない個人に関する情報)が提供先で個人データとなる場合の第三者提供の制限について、規定を新設しました。また、個人情報保護法の規律の適用対象外となる個人関連情報の取扱い(提供先で個人データとならない場合や第三者に直接取得させる場合)については、既にプライバシーポリシーガイドラインに定めのある自主ルールを更新しました。
なお、「行動ターゲティング広告ガイドライン」にも透明性確保とユーザー関与の機会の確保(オプトアウト(※2)の提供)の原則を定めているほか、「インフォメーションアイコン(※3)」による情報提供に努めることを推奨しています。
※1 情報の取扱いについての説明書き
※2 情報の活用について停止できる設定
※3 情報の取扱いを確認したり、情報の活用を停止できるページへ移動できる広告上のアイコン
3.利用者が不快に感じるインターネット広告の主な要素は、
「不適切な広告フォーマット」「不適切/不快な広告内容」
「不安・不快に感じるターゲティング広告の手法」
(1)不快・不信に感じる要素は「不適切な広告フォーマット」が最も多い
◆非推奨とする広告フォーマットの策定・普及 – グローバルと日本国内での適正化推進
(2)ターゲティング広告は不快感だけでなく、興味関心に合った広告を望む声もある
((1)のグラフ参照)
また、ターゲティング広告に対しての感じ方についての調査では、広告の内容にかかわらず「良いと感じる」「嫌だと感じる」が共に3割未満で、「特に気にならない」が5割前後となりました。「とても良いと感じる」「良いと感じる」「特に気にならない」との回答を合わせると7割を超えるユーザーが、ターゲティング広告を容認しているともいえる結果となりました。
◆ターゲティング広告に関する選択の機会を分かりやすく提供 – 情報提供と啓発の充実
JIAAでは、「行動ターゲティング広告ガイドライン」に基づき、広告上にオプトアウトへの導線となるアイコンを表示する「JIAAインフォメーションアイコンプログラム」の認定制度の運用や、「DDAI(データ・ドリブン・アドバタイジング・イニシアティブ)」による「統合オプトアウトサイト 」の運営など、ユーザーへのターゲティング広告に関する情報提供と関与の機会の提供を継続して行っています。
4.インターネット広告の受容度は約9割
インターネット広告に約7割が良い点を感じ、約5割がポジティブな実体験がある
(1)ユーザーの約9割が広告を受容している
(2)ユーザーの約7割が広告の良い点を感じ、約5割がポジティブな実体験がある
5.スマートフォンを中心にインターネットメディアの接触時間は増加
ただし、インターネット広告の信頼度改善は継続的な課題
(1)スマートフォンの接触時間が増加
(2)広告の信頼度は変わらず改善が課題
◆まとめ – インターネット広告に対する社会的信頼の醸成に向けて
JIAAでは、これからも会員社であるメディア企業と広告関連企業とが協調と連携のもと相互に責任を自覚し、共に、ユーザーにとってより望ましいインターネット利用体験、広告体験を創出するよう取り組んでいきます。
<2021年インターネット広告に関するユーザー意識調査 調査概要>
※PC、タブレット、スマートフォンのいずれかでインターネットを毎日利用する方
※全国を8地区に分け、インターネット利用者構成に合わせて地区・性年代別に割付