2023.09.01

 一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)は、インターネット広告の信頼・品質・価値の向上に取り組んでおり、昨年より「インターネット広告健全化運動」と題して、違法性が疑われる表示の削減や、ユーザーに誤認や不快感を与える表現を減らすための、実行性のある活動を推進している。
 その一環として、インターネット上の広告表示が適正に行われているかを自主的に把握すべく、「広告モニタリング調査」を実施した。会員社のインターネットメディアやアプリについてユーザーと同じ環境でモニタリングを行い、掲載されている広告に不適切な表示や表現がないかを審査し、その結果をメディアやアプリの運営会社に報告した。また、調査結果や不適切広告事例、調査結果後の取り組みを報告書としてとりまとめた。

1.調査概要

◇期  間 2023年4月7日 ~ 5月9日
◇対  象 JIAA会員社のインターネットメディアに掲載された広告
・広告フォーマット:ディスプレイ広告全般(対象外:動画広告)
・デバイス:PCサイト、モバイルサイト、モバイルアプリ
・対象ジャンル:ニュース、エンタメ等の情報サイト全般、SNS等(対象外:検索、ゲーム、Eコマース等)
◇審査基準 JIAA「2023年モニタリング調査」審査基準表
景表法や薬機法、JIAA「不適切な広告クリエイティブ事例集」を参考とし、審査業務の委託先企業が自社の対応実績等に基づき独自に作成した審査基準。
◇審査方法 審査員がPCやモバイル端末を使ってインターネットメディアにアクセスし、目視で広告の表示内容を確認。審査基準に抵触した広告、もしくは明らかに法令等に違反している広告等の広告主名、掲載場所等、指定の情報をリストアップした。
◇委託先企業 ポールトゥウィン株式会社

2.調査結果

・調査対象インターネットメディア数:
 127件(うち、自主的にモニタリング調査へ参加したメディアは70件)
 
  [内訳] 調査対象メディアのデバイス別件数

PCサイト 26
モバイルサイト 46
モバイルアプリ 55
127

・調査対象インターネット広告数:
 約75,000件

*審査期間中にメディアに表示され、目視確認された広告の総数で、重複して表示された広告も含む。

・不適切と判断した広告クリエイティブ、またはランディングページの数:
 1,105件

*ひとりの審査員が同一メディアで同じ広告の表示がされた場合は、リターゲティング配信とみなし、重複して表示された広告はカウントしない。
[内訳] 不適切と判断した広告の傾向
景表法に抵触するおそれのあるもの 126 11.4%
薬機・医療法に抵触するおそれのあるもの 323 29.2%
その他法令等に抵触するおそれのあるもの 9 0.8%
不適切な広告表現 620 56.1%
公序良俗に反するもの、その他 27 2.4%
1,105 100.0%

3.不適切広告事例

Topics1:ユーザーを騙す、虚偽の広告
 公式通信販売サイトを装った偽サイト
 無登録の金融商品取引業者の広告
 高級ブランドの模倣品販売サイト
 つり広告 → 偽の警告画面
 
Topics2:ユーザーを煽る、誇大表示の広告
 根拠のないNo.1表記
 オンライン診療における医療用医薬品に関する広告の不適切な割引表示
 効能効果の逸脱/怪しい儲け話
 
Topics3:嫌悪感を与える、不快表現の広告
 局部アップ/性的な表現

4.調査結果後の取り組み

自主的にモニタリング調査へ参加した会員社への報告の他、調査内容に関するアンケートや審査結果のレビュー、参加会員社以外の媒体社や広告配信会社に対して個別ヒアリングを実施するなど、多面的に審査結果を分析し、実態把握を行った。
JIAAでは、不適切広告への自主的な取り組みとして、来年度以降も継続的にモニタリング調査を実施し、インターネット広告の健全化を推進していく。