2024.06.20
<2024年度事業活動方針>
「さらなる変革が始まるインターネット広告の社会的信頼のためのアクションを継続する」
市場の成長に伴い、インターネット広告の信頼、品質、価値向上がより一層問われています。その責任を自覚し、業界が一致して社会的信頼や健全性の確保に取り組み続けることが、インターネット広告産業の発展と社会・経済への貢献につながると考え、JIAAはそのアクションの起点となるべく活動していきます。
2024年度は、次の施策を重点的に実行します。
<重点テーマ>
1.市場健全化に向けた施策
(1)倫理啓発と広告品質の適正化
-
●不当・不適切な広告の排除に向けた取り組みの強化・推進
- いわゆる「詐欺広告」への対応について、プラットフォーム事業者を中心とした新たなスキームを構築し、前年度に実施した会員社を対象としたアンケート調査の結果に基づき、実態に即した対策を検討、実施します。
- 社会情勢や市場環境の変化・多様化に対応した「広告掲載基準ガイドライン」の改定を検討します。
- 「広告モニタリング調査」について、対象領域の拡大や結果のレビュー方法など、より効果的な手法を検討し、実施します。「不適切な広告クリエイティブ事例集」への事例の追加も行い、啓発に活用します。
- 景品表示法や薬機法など関係法令に関する基礎的な知識や意識を高めるセミナーを継続して実施します。
-
●広告取引の品質向上に向けた取り組みの継続
- JICDAQ認証事業の推進や、違法有害サイト、権利侵害サイト・アプリへの広告掲載抑止などの活動を通じて、広告の取引品質の適正化・向上に向けた施策を継続します。
- 広告収入を得ることだけを目的として生成されるサイトについて、広告取引の観点で必要な議論を行います。
(2)ユーザー啓発活動への取り組み
- 「インターネット広告に関するユーザー意識調査」を通じてインターネット広告についてのユーザーの意識を把握・理解し、JIAAの活動の根拠とします。信頼されるインターネット広告の在り方についても研究し、会員社へ共有していきます。
- インターネット広告に対するユーザーの理解や関与を深める活動を検討します。インフォメーションアイコン等、ユーザーをエンパワーし、広告についてユーザーとコミュニケーションを図るための機能の活用を検討するなど、インターネット広告に対するユーザーの受容性を高める施策の可能性を探ります。
(3)ユーザー情報の保護と利活用環境の整備
- 「プライバシーポリシーガイドライン」と「行動ターゲティング広告ガイドライン」の体系見直しを進め、再改定を行います。特に、ユーザー情報の集積・分析やターゲティング等の利用におけるユーザーの脆弱性への配慮など、個人に関するデータを巡る昨今の社会情勢やユーザー環境、広告技術の動向も踏まえ、各規定等を取りまとめます。
2.市場活性化に向けた施策
(1)新たな広告・マーケティング価値研究
-
●新たな機会を創出し得る広告・マーケティング手法の調査研究・活用の在り方の検討
- 音声広告について、研究会を部会に改組し、広告フォーマットや、指標の標準化等、市場の伸長を見据えた検討を行います。
- コンテンツを中心としたデジタル広告領域について、継続的な研究とともにAI技術の進展に伴う各種影響への対応についての検討も行います。
- 「CTV」についてクロスメディアの測定指標に関して研究を進めるほか、「リテールメディア」「デジタルサイネージ」などの領域・テーマについても活動の必要性を検討します。
(2)情報共有・発信の強化
- 広告業務の変化や会員の増加・多様化に対応したセミナーの実施やオンデマンド配信等の充実により、有用かつ効率的な情報提供を行います。
- JIAA活動に関する情報やIAB活動などの海外動向をウェブサイトやメールマガジン等により速やかに共有します。
- JIAA設立25周年記念事業として、JIAA及びインターネット広告の足跡をコンテンツとして残すことを目的にプロジェクトを再スタートします。
3.対外連携活動の強化
- 広告関係団体との情報共有、連携を密に行い、インターネット広告の健全な発展のために協働して課題に取り組みます。
- 様々なステークホルダーとの連携・協力関係を深め、業界活動への正しい理解促進と適正なルール作りへの働きかけを行い、JIAAの活動を業界共通のコンセンサスとしていきます。
<委員会・部会>
恒常的な活動を行う委員会と、専門分野のテーマに集中的に取り組む部会を設置し、参加する会員により構成しています。また、必要に応じて、委員会・部会内に特定の課題を協議する分科会、実務的な作業を行うワーキンググループ、具体的な企画を実行するプロジェクトを設置し、活動を行います。
機能別委員会
マネジメント委員会
委員長:矢嶋弘毅(株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ)
協会の組織運営及び事業活動の諸課題について、戦略的方向付けを行います。また、業界全体でのコンプライアンス意識の浸透と強化に取り組みます。社会的課題に関してステークホルダーとの関係構築を図り対応するとともに、詐欺広告の問題への具体的対策を推進します。
<プロジェクト>
- コンプライアンスプロジェクト
- 広報政策プロジェクト
啓発共有委員会
委員長:新村尚貴(株式会社 日経BP)
基礎的な実務知識や法令等の動向に関する研修会の実施やテキスト等の発行により、人材教育・ナレッジ共有を推進します。また、市場動向や業界トレンドを把握する調査を行います。
<プロジェクト>
- 研修プロジェクト
- 市場動向調査プロジェクト
- 法務プロジェクト
ユーザーコミュニケーション委員会
委員長:松山 歩(Twitter Japan株式会社)
インターネット広告に対するユーザーの意識を調査によって把握し、ユーザー視点を重視した活動を行うための根拠とするとともに、ユーザーへの情報発信、啓発活動を推進します。
<プロジェクト>
- ユーザー調査プロジェクト
- ユーザー啓発プロジェクト
課題別委員会
広告基準委員会
委員長:白川美紀(株式会社 日本経済新聞社)
広告審査のレベルや知見の向上を図るため、最新の審査情報の共有化を図ります。また、昨今の市場環境の変化を踏まえ、広告掲載の可否判断に関するガイドラインの見直しを行います。
<プロジェクト>
- 広告審査プロセス共有プロジェクト
- 広告掲載基準ガイドライン分科会
測定指標委員会
委員長:岩崎秀昭(株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ)
広告の成果・効果の測定に関する指標や手法、基準に関する情報収集を行い、標準的な考え方の整理を進め、インターネット広告の価値を正しく示すための環境を整えます。
データポリシー委員会
委員長:福武雅則(株式会社 NTTドコモ)
利用者データの適正な取り扱いに関して、個人情報保護法等の国内外の規制動向や技術動向を踏まえ、ビジネスの実態に即した業界自主ルールの構築と普及を図ります。
- インフォメーションアイコン認定プログラム
JIAAが定めるガイドラインを遵守する事業者のサービスを認定し、ターゲティング広告等に業界共通のインフォメーションアイコンを表示するプログラムを推進しています。
取引品質向上委員会
委員長:齋藤菜津子(LINEヤフー株式会社)
広告取引の品質に関する課題を解決するための具体的施策を検討・実行します。JICDAQに関するJIAAの窓口の役割を担うほか、著作権団体と連携した海賊版サイト対策を推進します。
- JICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)
JIAA、日本アドバタイザーズ協会、日本広告業協会の3団体が設立した認証機構です。無効トラフィック対策とブランドセーフティに関する事業者の業務プロセスの認証を行っています。
テーマ別部会
デジタルオーディオ広告部会
座長:坂谷 温(株式会社radiko)
デジタルオーディオ広告の課題を把握し、推奨フォーマットやセミナーによる情報発信等の市場活性化に向けた活動を推進します。
研究会・その他
コンテンツマーケティング研究会
座長:長崎亘宏(株式会社講談社)
メディアのコンテンツを基点としたデジタル広告・マーケティング施策について研究を行い、セミナーを通じたケーススタディ等を行います。
周年事業プロジェクト
設立25周年記念事業として、インターネット広告業界の歴史、知見、情報等を記録・共有化する事業を推進します。
DDAI(データ・ドリブン・アドバタイジング・イニシアティブ)
広告プラットフォーム事業者による会員組織で、ユーザーがデータ利用の可否を簡便に選択するための統合オプトアウトサイトの運営や、ターゲティング広告に関する啓発を行っています。
DDAI Webサイト(https://www.ddai.info/)
● 会員内外を対象とした主催・共催セミナーの実施
● ウェブサイトを活用した情報共有の充実化、コミュニケーション効率化の推進
● 会員向けメールマガジンの発行
● 違法有害サイト情報、海賊版サイト・アプリ情報、消費者トラブル通信販売会社情報の提供
● インターネット広告健全化運動の実施(広告モニタリング調査等)